「はせがわくんきらいや」ヒ素ミルクによって、障害を持って生まれた子とその友人との、お話です。
大人になってから読んだのですが、その衝撃は、大きかったです。
それは、1970年頃徳島で小学生だった私には、「森永ヒ素ミルク事件」があまりにも身近だったから。
加害者となった会社の人とその家族、被害者とその家族、そのすべてが身近な存在だったから。
2010年、この絵本を読んだ私は、当時の新聞を思い出しました。
加害者となった会社の人が、定年退職することになり、受けたインタビューの新聞記事です。
「自分は、加害者として示談交渉など会社の人としての立場から降り、その役を交代するのだけど、被害者の方は一生だ。人間として加害者側の立場から一生降りることができない。人としての加害者から降りることは無理だけども、今回会社の役としての立場から降りられるだけでも、本の少しだけ正直救われる思い。もちろん、被害者の方からすれば、この救われる思いという気持ちは、ひどいことであることも承知している。でもせめて、示談交渉など会社の人としての立場から降りられなければ、もう辛くて辛くて今も苦しい。」というような内容だったと思います。
「はせがわくん きらいや」は、徳島育ちでなくても、ヒ素ミルク事件を知らなくても、心にズドーンと響き、大根おろしで心をひっかかれたような、細かなささくれがいっぱい残るような、そんな絵本です。
その後、縁があって、森永のへパスという薬の治験に参加させて頂くことがありました。
子ども時代にいだいた「会社員の方の誠実さ」のままの社風で、「森永」という会社の製品に対する姿勢を、私はずっと信頼しています。
ヒ素ミルク事件は、もう口にしたくない辛い事件ですが、忘れてはいけない事故で事件です。
「はせがわくん きらいや」は、いろいろなとても重いテーマを、子どもに伝えています。
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