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あかずきんadult

あかずきんちゃん

長靴をはいた猫

シャルル・ペロー
渋澤龍彦 訳
片山健 絵
大和書房 1600円
1973年初版
1988年14刷

河出文庫594円
赤ずきんちゃんという絵本の、テーマは深い。

昭和35年生まれの私は、あかずきんちゃんは、普通の絵本として、子どもの頃に読んだと思う。私が、普通と思っていた「赤ずきんちゃん」のストーリーは、ポール・ガルドンのあるいはフェリクス・ホフマンの「赤ずきんちゃん」と同じだ。

もし「あかずきんちゃん」を、「長靴をはいた猫」シャルル・ペロー 渋澤龍彦訳 片山健装画の本の中の「赤頭巾ちゃん」で読んでしまったら、「あかずきんちゃん」を、こどもに読むことはためらう。


「赤ずきんちゃん」の絵本に、ひっかかってしまった方は、
「増補 赤頭巾ちゃんは、森を抜けて」ジャック・ザイブス 廉岡糸子・横川寿美子・吉田純子 訳 阿吽社 4800円 1997年という本をどうぞ。

話は飛ぶが、「赤頭巾ちゃん気をつけて」という本があった。
庄司馨という人が書いた本で、当時5歳上の兄が買い求めた、「狼なんてこわくない」「さよなら怪傑黒頭巾」などとともに、当時一世を風靡した本だった。
50歳頃に、今は誰も住んでいない子どもの頃に住んでいた家に30年ぶりに帰ったとき、「赤頭巾ちゃん気をつけて」を本棚に発見した。中学生のときに読んだはずで、懐かしく手に取って開いてみた。あの頃、こんな本が書ける作者にあこがれのような感情をもっていたような気がした。それが、50歳を過ぎて読むと、なんかつまらなくて、数ページも読めないのである。たぶん、庄司馨が書いた歳を、私がずいぶん超えてしまって、気持ちが全くついていかないためと思われる。「赤頭巾ちゃん気をつけて」を、読むのはよしにして、本棚にもどした。
その少し残念な軽い失望を伴う驚きが、こどもの時に使っていた本棚のガラスまでを急に色褪せて写した。ノスタルジックな感傷が、淡く消えていった。

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