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宮沢賢治の世界 小学生以上向き 絵の多い児童書? 

  「猫の事務所」も「よだかの星」も、いじめをテーマにしていると思います。
  自分にないものを、異質と感じ、つぶそうとする本能。いつの時代も同じです。
  また、弱いものに対する、優しい目を持った人だったようです。
  
  この競争社会の中、おかしくなっている考え。絵本で指摘されると、はっとします。
  

猫の事務所

  • 猫の事務所 宮沢賢治 作 植垣歩子 絵 mikihouse 1500円 2014年
  • 猫の事務所 宮沢賢治 作 黒井健 絵 偕成社 1600円 1994年 2012年 28刷
  • 「猫の事務所」は、猫の歴史と地理を調べるところでした。
  • 勤務するのは、事務長の黒猫、と4人の書記猫。。書記の定員は4人です。
  • 書記はみな、短い繻子しゅすの服を着て、大変尊敬されるので、欠員(欠猫?)ができると、そのあとに、入りたがっています。
  • 1番書記は白猫、2番書記は虎猫、3番書記は三毛猫。そして4番書記が、窯猫:かま猫です。
  • かま猫っていうのは、生まれつきは何猫でもいいのですが、夜かまどに入りたがって眠る癖があるために体に煤がついて、真っ黒になった猫のことです。
  • このかま猫は、普通ならこの4番目の書記には選ばれなかった筈の猫が、事務長が黒猫だったので、選び出されたのです。ですから、かま猫は、ほかの1番書記の白猫、2番書記の虎猫、3番書記の三毛猫に、嫌われています。事務長は黒猫ですから、黒いかま猫をかばいますが、余計いけません。
  • かま猫は何とかみんなによく思われようと、いろいろ工夫しますが、どうもかえっていけません。
  • 様々な小さな事件の後、かま猫は風邪をひいて、足が腫れて、どうしても行けなくなり、1日休んでしまいます。悲しくて泣いて泣いてしまいました。
  • 事務所では、事務長が「はてな、今日はかま猫君が、まだ来んね。遅いね。」と心配します。
  • それに対し、白猫も、虎猫も、根も葉もないことを言いました。三毛猫に至っては、「どうしてどうして、かま猫はこの頃はあちこちに呼ばれている、何でも、今度は俺が事務長になるとか言っているそうだ。だから馬鹿なやつが、あらんかぎりにご機嫌をとるのだ」と。
  • それを聞いて、事務長が「けしからん。あいつがよほど目にかけてやってあるのだ。よし、おれにも考えがある」と。
  • 最後は、読んでのお楽しみ。でも、人間の世界も、ちょっと離れて空からみたら、こんなものですよね。反省です。

どんぐりと山猫

  • 宮沢賢治 作 田島征三 絵 mikihouse 1500円 2006年 2011年2刷
  • ある日、小学生の一郎の家に、おかしな葉書が来ます。
  • かねた一郎いちろうさま、九月十九日くがくじゅうくにち
  • あなたは、あなたはごきげん読んでよろしいほで、けっこです。
  • あしためんどうなさいばんをしますから、おいでんなさい。
  • とびどくももたないでください。 山やまねこ 拝はい
  • 葉書は、山猫の馬車別当からでした。
  • 山に出かけた、一郎を迎えた、山猫は、300を超える、どんぐりたちの争いの裁判を司っていましたが、3日目になっても仲直りするどころか、「頭がとがっているのが一番えらい」「いや丸いのが偉い」「いいえ、大きいのがえらい」「背の高いのがえらい」「押しの強いのがえらい」などなど、がやがや、がやがや。収まりません。そこで、意見を求められた一郎が言った言葉は、
  • 「そんなら、こう言いわたしたらいいでしょう。このなかで、いちばんばかで、めちゃくちゃで、まるでなっていないようなのが、いちばんえらいとね。ぼくお説教せっきょうできいたんです。
  • 大騒ぎをしていた、どんぐりたちは、シーンとなります。
  • 一郎は、山猫と馬車別当に、感謝され、家まで送ってもらいます。
  • ね?やっぱり、うまく人間の世界を、空から見て、風刺?しているでしょう。
  • 大人から反感を買わないように、大人の価値観で否定されないような書き方で、うまくこどもたちに、大切なことを伝えようとしている。

やまなし

  • 宮沢賢治 作 小林敏也 画 好学社 1700円 2013年

虔十公園林

  • 宮沢賢治 作 伊藤亘 絵 偕成社 1400円 1987年 2006年26刷
  • 人間、何が大切なのか。
  • 主人公、虔十は、杉を植えました。馬鹿にされましたが、杉を植えました。
  • 虔十が植えた木は立派に大きくなって子供たちが、元気に遊びまわる場所となりました。
  • ある秋、虔十はチブスにかかって死んでしまいます。
  • やがて、周囲は、瀬戸もの工場や停車場ができました。周囲は町になったのです。
  • 遺族は、虔十のただ一つの形見だから、売れ売れと言われても売りませんでした。
  • 虔十の杉の林は、小学校のちかくだったので、まるで小学校の附属の運動場のように、子供たちが遊びまわるところになりました。
  • ここを「虔十公園林」と名をつけて、いつまでも保存するようにしては、と提案されました。
  • 公園には、「虔十公園林」という碑がが立ち、虔十のうちの人は、本当に喜んで泣きました。
  •  全く全く、この公園林の杉の黒い立派な緑、さわやかな匂い、夏のすずしい陰、月光色の芝生が、これから何千人の人たちに、本当のさいわいがなっだかを教えるか、数えられませんでした。
  •  そして林は虔十が居た通り、雨が降っては、すき徹る冷たい雫を、みじかい草にポタリポタリと落とし、お日さまが輝いては、新しい奇麗な空気をさわやかにはき出すのでした。
  • 伊藤亘氏の紙彫という独自の手法で、美しい絵本となっています。
  • 木を植える絵本では、「木を植えた男」 ジャン・ジオノ原作 フレデリック・バック絵 寺岡襄訳あすなろ書房 という絵本もあります。

オッペルと象

  • 宮沢賢治 作 新井良二 絵 mikihouse 1500円 2007年 2013年2刷
  • 反資本主義の絵本かも。働いて働いて、いっぱいお金をもらって。気が付いたら疲れれてて。そんな自分に気が付いて。頑張りすぎて、疲れる前に、読んでいればよかったかも。
    大人になって読んで、ドキッとしました。

    セロ弾きのゴーシュ

  • 宮沢賢治 作 赤羽末吉 絵 偕成社 2000円 1989年 2014年31刷
  • 表紙の裏から
  • おそらくは、賢治の最後の作と思われるこの童話は
  • 私たちに、不思議な幸福感をもたらしてくれます。
  • あまり上手でないセロ弾きのゴーシュが、
  • 夜毎現れる動物達との、交流を通して、
  • やがてセロの名手となって喝采をあびる情景は、
  • 万人の胸に深い感動を呼び起こします。
  • 奇妙なやさしさを持つこの物語世界を、
  • 絵本作家・赤羽末吉が、岩絵の具と不透明水彩の
  • 個性豊かな筆致で表現します。
  • 宮沢賢治 作 茂田井 武画 福音館書店 1966年 1993年52刷
  • 茂田井武 といえば、、本当に素敵な絵を描く人なのですが、
  • この絵本が出版された、翌年に持病で、43歳で亡くなったそうです。
  • この本は、挿絵の優れた児童書の部類に入ると思います。
  • 絵本と児童書、読み比べてみてください。
  • ざしき童子のはなし

  • 宮沢賢治 作 伊勢英子 絵 講談社 1600円 1985年 2013年16刷
  • 「ざしきぼっこ」 は、宮沢賢治の故郷の北上川のあたりに伝わるお話に出てくる子です。昔から、座敷に隠れ?住んでいる子で、子供には見えて大人に見えなかったり。その子がいる家は栄えるという、言い伝えがあったり、、、。
  • 「ざしきぼっこ」ってどういう子のかというのを、3つのお話で説明している絵本です。
  • 伊勢英子さんの絵本というと、
  • 他に
  • よだかの星 1986年 宮沢賢治 伊勢英子 などがあります。
  • よだかの星

  • 宮沢賢治 作 中村道雄 絵 偕成社 1442円 1987年 1989年4刷
  • 昔、小学生の道徳の本に載っていて、教室で読んだときに、辛い気持ちになった記憶があります。
  • その感性が50歳を過ぎても残っていることのすごさが、「宮沢賢治の絵本」なのだなと思います。
  • 鹿踊りのはじまり

    鹿踊(ししおど)りのはじまり
    宮沢賢治作 ミロマチコ絵 miki house 1500 円 2018年

    銀河鉄道の夜

  • 宮沢賢治 作 金井一郎 絵 mikihouse 2300円 2013年
  • 主人公ジョバンニは、小学校の高学年くらい。親友のカムパネルラ君と、しじめっこのザネリ君。
  • 銀河帯が星であることは、カムパネラのお父さんの博士のうちで読んだ雑誌で知っていましたが、改めて学校で、銀河帯が、一つ一つの星であることを、教わります。
  • ジョバンニとか、カムパネラとか、言われると、舞台は、海外かとも思うのですが、何となく日本の昔の光景のようななつかしさを感じます。
  • 宮沢賢治の世界が、「入眠時の幻覚」に近いのでは、と吉本隆明氏が説明しています。
  • 現実か、非現実か。その境を行き来するような、表現。
  • 金井一郎さんの絵が、その世界を、巧みに見せてくれます。
  • ちょっと、ざわっとしました。
  • 月夜のでんしんばしら

    宮沢賢治 作 遠山繁年 絵 偕成社 1600円 1989年初版 1990年2刷
  • 月夜の中、目の前の電信柱が、急に、「大威張おおいばりでいっぺんに北きたのほうに歩あるきだしました。」とあります。
  • 絵は幻想的。現実と幻想の境のあいまいな世界。
  • 宮沢賢治氏は、今でいう統合失調症のぎりぎりのところで、創作活動していたのではないかと、思いました。宮沢賢治の不思議で、ちょっと怪しい世界を、美しく妖しい絵で、遠山繁年氏が描いています。

注文の多い料理店

 注文の多い料理店

宮沢賢治 スズキコージ miki house

  • 注文の多い料理店は、人間が料理を食べに行ったのに、ひょっとして、ここは、、、。
  • 食べるか、食べられるのかという、恐ろしい世界。そのおどろおどろしい世界を、スズキコージ氏の絵が、マッチ。

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さらに興味のある方は

宮沢賢治の世界
吉本隆明 筑摩選書1800円
2012年