カバー裏から
メアリー先生が、はじまりの ふえを ふいた。
でも わたしは プールにはいらなかった。
「おなかが いたいの」
そしたら、先生がー
プールサイドで、プールにはいれないで、片腕で反対の腕を握り、
ちょっとほほを赤らめているこの子が主人公です。
きょうは どようび。
プールの ひ。
あさ、おなかが いたくなった。
行きたくないけど お母さんに促され、プール教室に来ました。
できるだけゆっくり水着に着替えてプールサイドには、やって来ました。
メアリー先生が 始まりの笛を吹いたけど、私はプールに入りません。
入れないのです。するとメアリー先生が、優しく、
「おなかが いたいならむりしてはいらなくていいよ」
言ってくれました。
初日は、プールに入らないで終わりました。
プールが怖い女の子が、メアリー先生の優しい誘導で、
プールに入れるようになり、泳げるようになり、やがて潜れるようになるまでの
暖かいストーリーです。
年中さんから
おおきな みずうみのまんなかに
ぽっかり うかんだ ちいさいしまは
だれもしらない ねこのしま
盆おどりを、力強い絵と関西弁で。ねこの世界で表現。
中山ひろたか 文 山村浩二 絵 学研プラス 1200円 2019年
幼稚園児向き
ジョン・バーニンガム 作 谷川俊太郎 訳 BL出版 1500円 2019年
2019年に亡くなった大作家ジョン・バーニンガムの最後の作品となりました。
たなか しん KADOKAWA 2019年4月初版 1000円
tupera tupera 白泉社 1300円 2019年
tupera tuperaさんの絵本が好きな方には、
「木がずらり」ブロンズ新社 1400円
2011年初版 2019年6刷はいかが?
いわゆる本の形ではなく、巻物状にぱらぱらと広がる形の絵本です。
本のように開くこともできます。
乱暴に本を扱う時期には、無理ですが、優しく扱えるようになったら、OK。
竹下文子 文 町田尚子 絵 小峰書店 1500円 2019年4月
町田尚子さんの猫と言えば、『ネコヅメのよる』(WAVE出版)。
「なまえのないねこ」は、鼻と右耳に傷があり、何かを求めるような、少し不安げな様子。
ぼくは ねこ。なめのない ねこ。
だれにも なまえをつけてもらったことが ない。
小さいときは、ただの「こねこ」だった。
おおきくなってからは ただの「ねこ」だった。
ねこちゃんの目がさみし気です。
「なまえのないねこ」さらに読む
「ネコヅメのよる」の猫と比べて見て下さい。
大宮エリー 美術出版 2000円 2019年2月
大人向きの絵本でしょうか。絵にのせて、詩を書くという、手法で描かれたものです。
大宮エリーさんの多彩な才能がこの本を、作りだしました。
シェリル・バードー文 バーバラ・マクリントック絵 福本友美子 訳
ほるぷ出版 1600円 2019年
1776年、パリで生まれたマリー・ソフィ・ジェルマンという女性が、数学者として成功するまでの苦労を、絵本にしたものです。
18世紀、フランス革命の時代。ソフィが、19歳になるまで、政府は少なくても4回変わり、何千という人がギロチンにかけられて亡くなっていったそうです。
その時代は、女の子は学校には行かず、家で教育を受けられるのも少数、賢い女性は、うわさの種になりました。
ソフィが19歳になった頃、フランス革命もおさまり、外を出歩けるようになり、彼女は大学に行きたいと思いました。しかし女性の勉強を見てくれる教授は、一人もいませんでした。
様々な苦労と努力の末、1816年ソフィは王立アカデミーで大賞を取り、この賞をもらった、最初の女性となりました。
才能があっても、なかなか、世の中の人は受け入れてくれません。
特に女性が、数学の世界で、家の外で、活躍することなど、認められていない時代です。
才能が開花するためには、本人の努力ももちろんですが、子供の時に、「女の子が科学者になるなんて、無理に決まっているが、もうこの子には、好きなだけ数学の夢をみさせてやるしかないと、応援してくれた両親が必要です。
才能を伸ばすのは、難しい。成功する人って、一握りですもの。
でも、その資質や希望を親に認められ、応援されなければ、始まりません。
文字も多く小学生向きでしょうか。
シェル・シルヴァスタイン 村上春樹 訳 あすなろ書房 1500円 2019年11月
原題は 「missing piece meet the big O」
「ぼくを探しに」の原題が、「missinng piece」で、これは続編になります。
訳者あとがきから
・・・
最初の「ぼくを探しに」は、自分の足らない部分(かけら)を探しにいくマル(円形)のお話になっています。そしてこの続編「はぐれくん、大きなマルにであう」は、マルくんが通りかかるのを待っているかけら=はぐれくんのお話になっています。つまり表裏、一対の物語になっているわけです。
どちらのお話にも共通しているのは、「自分はじゅうぶんではない」と主人公たちが考えていることです。マルくんは「自分には大事な一部が欠けている」と感じているし、はぐれくんは「自分はもっと大きな何かに含まれるべきだ」と感じています。そして一緒になるべき相手を見つけようと、どちらも懸命に努力します。でもなかなかうまく相手が見つかりません。やっと正しい相手が見つかったと思っても、いろいろあって結局うまくいきません。そおの努力をいわゆる「自分探し」ととらえることもできるでしょうし、自分を正しく理解し、受け入れてくれる他者の探索、ととらえることもできるでしょう。でもいすれにせよ、そういう相手は簡単には見つからないものです。僕らの人生においても、だいたい同じようなことが言えますよね。
でも最後にはいろいろな経験を通して、マルくんもはぐれくんも、「大事なのはふさわしい相手(他者)を見つけることではなく、ふさわしい自分自身を見つけることなんだ」と悟ります。そうしてようやく心穏やかな、平和な境地に到達します。なんだか哲学的ですね。
・・・
マック・バーネット 文 イザベル・アルスノーえ まつかわまゆみ やく
児童図書館 1600円 2019年
ベットに入っても眠れない女の子は、聞きます
ねえ、パパ、どうして、うみって あおいの?
まいばん、きみがねむると、さかなが ギターを とりだして かなしい うたを うたって。あおい なみだを ながすからさ。
あめって、なあに?
トビウオのなみだだよ。
とお話は続きます。
そして、最後は、定番の
どうして ねなくちゃ いけないの?
それに対するパパの答えが奮っています。お楽しみに。
ステイシー・マカナルテイー原作 スティビー・ルイス絵 千葉茂樹訳
小学館1400円
向田邦子原作 角田光代文 西加奈子絵 小学館1500円 2019年
向田邦子氏のエッセイ「眠る盃」1979年講談社の中に載っている「字のないはがき」。
作者の一番下の妹、和子さんのお話です。
戦争が激しくなって、田舎に疎開する妹に、お父さんは、たくさんの葉書を持たせました。
そして、元気な日は葉書にまるを書いてポストに入れなさいと言ったそうです。
疎開という言葉。本の中で、
そかいというのは、かぞくとはなれて、 ばうだんの おちてこない、とおい いなかで くらすこと
と説明されています。
反戦の絵本です。
読んであげるなら、年中 年長さんくらいからから
漢字はわずかで、フリガナもあります。
自分で読むなら、小1くらいからでも。
有田奈央 文 軽部武宏 絵 新日本出版社 2019年 1500円
みどりの公園の トイレには
ゆうれいが でるという
うわさが ある。
幽霊が出るなんて、どうせ ただの噂だ。大丈夫 怖くない・・・
こういう怖い絵本、どうなんかなって思う時もあるのですが、
人間、なんとなく危ない場所ってところに近づかないようにする力も
無事生きていくのに、必要なことではないかと思うのです。
対象 3-4歳頃から? ちょっとあんまりちいさいとおねしょしちゃうかも?